日本茶の可能性を追求する茶葉屋【GEN GEN AN 幻】
その周囲に集うさまざまなジャンルのプロフェッショナルとの茶実験談義「NEW TEA LAB」。第四回目は、広尾にあるGEM by motoの千葉麻里絵さんです。今回は、「茶×酒」の新たな形、「SAKE TEA」について。対談前編はこちら。
SAKE TEAの進化
日本酒と日本茶とのペアリング実験を経て生まれた「SAKE TEA」。茶葉を日本酒で抽出することでできた新たな味わいは、日本酒単体、日本茶単体だけでは決して味わえない特別な体験を提供してくれる。今回は、前編で紹介したSAKE TEAとは別の形で新たに作り出された「日本酒×日本茶」の形を取り上げる。煮出すのではなく、溶かす
ここに3タイプのSAKE TEAがある。お茶を製氷機で氷にしたものを日本酒に溶かして飲むという新たな飲み方の提案だ。「作り方としてはとてもシンプルです」と千葉さんはいう。氷を取り出すタイミングは人それぞれ。少し溶かしてすぐに取り出しても良いし、薄めが好きな方ならずっと氷を入れて溶かしながら飲んでも良い。今回、ベースとした日本酒は一種類。静岡の英君という日本酒を使っている。「英君は、水が柔らかい土地でつくられています。メロンのような香りがあり、すっと抜けてごくごく飲める、アルコール度数が低めのお酒です」
融合されたときに現れる味わいの違いを楽しむ
3タイプの“SAKE TEA”を飲み比べてみる。2つは市販のお茶を凍らせた氷を用いてつくったもの。1つはEN TEAの水出し緑茶を使ったものだという。メロンのような香り(酢酸イソアミル)が出やすい酵母で醸す英君の特徴の出方がそれぞれで全く異なるのがおもしろい。「甘み、酸味のピーク値がそれぞれ異なりますね」(丸若)
「色で例えると、ひとつめは、味が2色に分かれています。メロンの香りも強く出ていますね。ふたつめは、単色。みっつめはグラデーションになっています。EN TEAの水出し緑茶を使ったものはみっつめ。以前、無糖のコーヒーを凍らせて氷にしたものを日本酒に溶かすという提案(「アイスSAKE珈琲」)をしたのですが、珈琲はお互いの酸味でペアリングをしていく、いわば油絵のようなものでした。日本茶はそれとは全く異なり、水彩画のようですね。フレーバーで合わせていくというか、珈琲よりもきめ細かいところで融合できる感覚です。それがとてもおもしろいです」(千葉さん)
お茶そのものの単独での味の違いはもちろんある。日本酒と掛け合わせたときに、その違いがより明確に現れる。「日本茶」×「日本酒」、その掛け算のおもしろさは掛け合わせたときの「違いの際立ち」にあると千葉さんは語る。
育てる取り組みとしての「SAKE TEA」
SAKE TEAの作り方はいたって簡単、2ステップだ。①お茶を製氷機で凍らせる
②家庭用の氷サイズ1個に対して120ccの日本酒を注ぐ
誰でも簡単に楽しめる新たな味わいのトライアルを、ぜひたくさんの人に試してほしいと千葉さんは語る。「みんなで育てていきたいな、と思います」
新たな味わいを生み出すのに、特別な技術はいらない。一手間好きなお茶を凍らせるだけ。新しい日本酒と日本茶の楽しみ方を、ご自宅でぜひ一度お試しあれ。
※GEM by motoでは、上記スタイルのSAKE TEAの提供はしておりません。
前編「EN TEA LAB #01」はこちら
GEM by moto
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Edit & Text:Kana Takeyama(PARK 365)