NEW TEA LAB #001 千葉麻里絵 MARIE CHIBA / GEM by moto / 広尾

[THEME] 日本酒 × 日本茶

日本茶の可能性を追求する茶葉屋【GEN GEN AN幻
その周囲に集うさまざまなジャンルのプロフェッショナルとの茶実験談義「NEW TEA LAB」。第一回目は、広尾にあるGEM by moto千葉麻里絵さんです。




GEM by moto / 日本酒×〇〇の実験場としての店

恵比寿と広尾の間、路地の途中にその店はある。コの字のカウンター席の奥にひっそりとソファ席を備え、連日連夜客の絶えないその店は、酒ソムリエ・千葉麻里絵さんが手掛ける「GEM by moto(ジェム バイ モト)」だ。足を踏み入れるとまず目に入るのは壁一面にさまざまな言語で書かれたメッセージの数々。壁面に書かれた意外性のある料理メニューにも思わず目が止まる。

GEM by motoは、今から5年前の2015年7月、「日本酒は宝物」をコンセプトに千葉さんがオープン。日本酒に対する、「間口が狭く、難しい」と捉えられがちな古いイメージを取り除き、日本酒の味のバリエーションの豊富さ、若い造り手たちの想いを伝えたいとつくったこの店で、千葉さんは「日本酒×◯◯」をテーマに、日々日本酒と向き合っている。



「食べる」「飲む」側の気持ちになって、ペアリングを考える
千葉さんは、日本酒×料理はもちろん、日本酒×空間、日本酒×器、日本酒×茶葉、日本酒×コーヒーなど、今までにない組み合わせを求めて、感覚的、科学的の両面からアプローチを仕掛けていく。基本的に「おまかせ」での注文の多い店で、大切になるのは、「お客さん」の情報。はじめてのお客さんでは知り得ない「体調」「好み」といった情報も、2度、3度と訪れてくれることによって、ペアリングの大切な要素となるという。情報が増えれば増えるほど、掛け算要素は多くなる。

「発酵」の力を信じる
千葉さんにはルールがある。それは、「発酵」の力を信じるということ。日本酒の発酵が元に生み出される香りや物質を徹底的に研究し、新たな味わい求めるために安易に他のものを足すことはない。わざわざ他のものを足してつくらず、日本酒の発酵に任せるという。ただし、「発酵」では生み出し得ない特徴を持たせたいとき、日本酒ではない他のものと日本酒を組み合わせて新たな可能性を広げていく。「そのほうがロマンチックで、素敵じゃない?」と千葉さんは言う。



SAKE TEAの誕生
日本茶とのペアリングも、発酵に出せないタンニンの渋みを求める過程で生まれた。発酵の力では出せない「渋み」を求め、当初は普通に売っている、手に入りやすい茶葉との掛け合わせにチャレンジ。試作を繰り返し、徐々に良質な茶葉が手に入り始めた頃、EN TEAの代表である丸若と出会った。「理想の茶葉と近かったから。」そう選ばれた茶葉は2種類。紅茶と焙じ茶を足したような、香ばしくほのかな甘みのある味わいと華やかな香りが特徴の「紅焙じ茶」、そして、摘みたての若い芽を蒸して乾燥させた、青々しい香りとふくよかな味わいが特徴的な「玉緑茶」。この2種類の茶葉を用いて、お湯の代わりに燗した日本酒で茶葉を抽出し、生み出されたのが「SAKE TEA」である。

紅焙じ茶は、紅茶の香りがするので、甘酸っぱいお酒が合うな、と思い、酸味のある仙禽や新政と合わせてみました。玉緑茶は逆に酸味がない方が旨味が引き立つので、酸がなく、フレーバーも派手ではない山形正宗の相性が良いと感じたんです。抽出温度もそれぞれに合わせて変えています」

実験の末に生まれたSAKE TEA。
お茶好きも酒好きもたまらない特別な一杯は、GEM by motoで楽しめる。
「日本酒×日本茶」のプロジェクトの第一弾として生まれたSAKE TEAに続く新たな実験はまだまだ続く。



※千葉さん不在の際には、玉緑茶のSAKE TEAは提供できない可能性がございます。店舗にお問い合わせください。



GEM by moto
住所:東京都渋谷区恵比寿1-30-9
営業時間:
火〜金・祝前日
17時〜23時30分
土日・祝日
13時〜21時
定休日:月曜日


Edit & Text:Kana Takeyama(PARK 365

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